整体の教科書

あなたは本当の整体を受けたことがありますか。感動したことはありますか。

腸もみとハラ揉み①「腸もみとは?」

腸もみとは

近年よく聞くようになった「腸もみ」。一昔前には「腸セラピー」も良く聞きました。

人の免疫細胞の約70%が腸にあるということが知られてきて、腸の働きを良くする取り組み「腸活」という言葉も生まれ、腸への関心は高まるばかり。その流れのなかで「腸もみ」に関心を持つ人、「腸もみ」を施術する整体師も増えているのですね。では実際に腸もみとはどういうものでしょうか。

実は私も「腸もみのゴッドハンド三宅先生です」と紹介されることがありますが「実はちょっと違うんだけどな」と心の中で思っています笑。その辺のことも含めて「腸もみ」についてお話していきましょう。

腸って揉めるもの?

腸もみとは文字通り「腸を揉む(もむ)こと」とですが、果たして人の腸ってそう簡単に揉めるものでしょうか。腸は内臓だから外からみることはできないのに、ちゃんと腸だとわかって揉んでいるの?それって本当?という素朴な疑問を感じる人も少なくないでしょう。

実はその疑問は鋭いところを突いています。本当は口で「腸もみ」というほど簡単に腸を揉めるわけではないのです。

というのは、腸を手で揉もうとするとき、基本的には腹部に手をあてて揉んでいくのですが、手が(指が)腸に届く前にいくつもの関門があります。まず皮膚、その奥に皮下脂肪、さらにその奥に筋肉(主に腹筋ですね)、さらにその奥に腹膜などがあり、指が腸に触れるのを防ごうとしてきます。

筋肉や脂肪の量や厚みは個人差がありますが、たとえ痩せていて筋肉があまり付いていない人でも、これらの障害物を乗り越えて腸に指を触れるのはなかなか難しいものです。また知らない人も多いですが、揉まれる人のその時の精神状態が腹筋にものすごく多くな影響を与えます。ちょっと緊張しているだけでも腹筋がカチカチに硬くなり、揉む指が全くおなかに入って行かなくなります(私も若い時はカチカチのおなかに絶望ををしたことがあります)。腸もみにはそういう難しさもあります。

ですからこれはあくまでも私の観測ですが、世間の「腸もみ整体師」の中で、本当に腸が「見えて」、しっかり「揉めている」人は実はあまりいないんじゃないかと思います。皮下脂肪や筋肉に力を吸収されて、腸にはほとんど届いていない、実際はそんなことが多いと思います。そのくらい腸もみは本来難しいものです。

腸は命を左右する大事な臓器

しかし見方を変えれば、腸を簡単に揉めないのも当然なのです。なぜなら腸は命に関わる重要な臓器だからです。長い長い小腸、おなかをぐるりと一周する太い大腸、その長さは数メートルにも及びますが、その一部でも破れたり穴が開いてしまったら直ちに手術でふさがないと死んでしまいます。

また冒頭で書いたように、免疫細胞のほとんどは腸に宿りますから、腸が傷んでしまうと免疫力が低下してウイルスやがん細胞の増殖が止まらなくなります。このような大事な大事な働きを持ち、命に関わるデリケートな腸ですから、身体はちゃんと奥深くにしまい込んで守っているのですね。簡単に揉まれては困るのです。腸とはそういう臓器なのです(他の臓器ももちろん同じように大事ですが)。

なぜ腸を揉むべきなのか

このように腸は命に関わるとても大事な臓器ですから気楽に人に揉ませていいわけがないですし、気楽に揉んでいいわけもありません。「腸もみ」というブーム?にのっかって安易に行うものではないのです。

しかしだからと言って腸をアンタッチャブルなものにしてしまう、決して触れないで生きていくことが良いかと言えば、それもまた違います。

何度も書くように、腸は大事な大事な臓器。大事な働きを持っています。消化、吸収、排泄、免疫などが主なもので、これらの働きを腸が担っていますが、腸もいつも絶好調であるとは限りません。むしろ添加物にまみれた食事、脂っこかったり甘すぎる食事、食べ継ぎ飲みすぎ、運動不足に寝不足、ストレスに冷えなどなど、腸を弱らせる要素は私たちの暮らしに数えきれないほどあります。実際にそれらが原因で私たちの腸は随分傷んでいます。

これも私の経験に基づく感覚ですが、本来の腸の状態を100点満点とすると、大体みなさん30点~65点くらいのところで暮らしています。意外に低くに感じました?でもさすがに100点満点は無理でも、70~80点くらいでキープしておきたい。そうすればコロナウイルスであろうが、がん細胞であろうか、あまり怖くはありません。お通じだって良い状態を保つことができます。実際に私がみている人たちの多くは高得点をキープしています。(だからがんにならないんです)

「腸もみ」を受けるべき?

ここまでをまとめると、腸を安易に揉むことは要注意ということです。でも実際にはそう簡単に腸を揉むこともできないので、ほとんどの場合大きな問題になることはありません。腸を揉んでいるつもりで実は脂肪や腹筋を揉んでいるからです。

ただ揉む時の振動が腸に伝わり刺激となって、腸を活性化するという効果は大いに期待できます。ですから例え腸に届かない腸もみでも、受けてみる価値はあると言えます。

逆に絶対に避けたいのは、それこそ力ずくでおなかを揉むような整体です。これは本当に危険ですから絶対に受けないでください。「力ずくで危ないな」と感じたら、施術中でもやめてもらってください。おなかを力ずくで揉むのは絶対にNGです。

もしちゃんと腸の状態が「見えて(感じ取れて)」正確に「揉みほぐせる」腸もみをする先生に出会えたら、それは本当にラッキーですね。元気な腸を作り上げてもらえば一生の健康守りになりますから、そんな先生をぜひ探してみて下さい。

では次回はつづきで「腸もみとハラ揉みの違い」についてお話しましょう。

おなか人 三宅弘晃