美氣流行~びきりゅうこう

人を救い守るための整体を作り、伝えています

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整体師の責任

整体師=医者嫌い、と思っている人は少なくない。確かに医者の悪口を言いながら自己正当化する整体師もいるにはいるが、しかし皆がそうではない。
私も状態によって「これは病院でも検査してもらってください」ということがよくあり、そう言われてびっくりする人もいる。まさか三宅先生に病院の検査を勧められるとは!と。病院が嫌いだからわごいちに来たのに!と。でもそれは本当はおかしいことだと思う。

今日初めてわごいちに来られた女性は、『おなか白湯もみ健康法』を読まれてここだ、と思ったとのこと。近年急に固く膨らんできた下腹部が心配になって院長単発コースを受けに来られた。
触れた瞬間にこれは難しいなと思った。あまりにかた過ぎて私の指が入らない。こんなことはめったにないことだ。その固まりが年月をかけて出来て行ったものならまだしも、この1,2年で急速に大きくなっていったというのが気になった。
もしまだ触れられない奥にやっかいな病巣が隠れていたら、私の指が届くスピードよりも速く悪化していったなら、果たしてどうなるだろうか。万全を期すならば、診断と対処は早い方が良い。そして万が一の対応も万全にしておく必要がある。私の取り越し苦労であれば、それに越したことはない。
「最近の病院での診察や検診はいつされましたか?」と尋ねたら、十数年間病院にはかかってないと言う。昔に怖い思いをしてそれ以来病院には行けないと言う。またもし癌だったら怖いから病院には行けないとも言う。こんなに大きな固まりをおなかに抱えたまま、それでも病院には行けないと言う。

「私もできる限りの検査と施術をするけれども、病院にも行ってください。私にしかわからないこともあれば、病院でしかわからないこともあります。どちらも100%ではないけれども、双方の力をうまく最大限に活かしてください。」そうお話をした。
結局『おなか白湯もみ』の監修をしてくださったアクアメディカルクリニックの寺田先生に連絡を取り、診察をお願いすることにした。幸いに東京から来られていた方だったので、私の知る限りで最も信頼できる内科の先生に診てもらう段取りが無事について、ひとまず今日のところは落ち着いた。

「都民ファースト」ではないが、この仕事は「お客さん(患者さん)ファースト」であるのは言うまでもない。しかし言葉にするほどそれが業界全体で徹底できているとも思えない。
どうしても自分のところの経営を優先したくなったり、クレームリスクを回避したくなったりして、「自分ファースト、お客さんセカンド」になってしまうことも多いのが現実ではないだろうか。
しかしそういう時こそ、整体師として、プロとしての「責任」というものを自分の中で問い直す勇気も必要になると思う。

とにかく今日のところはひと段落ついて、その他さまざまな雑務を終えてわごいちを出る時、ポストに1枚の葉書が入っていた。
私が何年も担当し続けていた女性の訃報だった。

わごいちに通う以上は癌にさせない、というのがわごいちの最大の目標であり公約である。しかしその女性は若くして癌にかかってしまった。私は毎月何年もその人に触れながら、その兆候に気が付くことができず、病院の検査で癌が発覚した。
その後まもなくその人からの連絡は途絶えた。だからと言って約束を果たせなかった人間から連絡を取ることはできなかった。
そのまま月日がすぎ、最後に葉書が来た。ご家族にわごいちに連絡をするように言い残されたのだろうか。

他人の命を、いや自分の命でさえ、どうすることも出来はしない。
しかし何とかしようとあがくことはできる。何とかしようと共に挑むことは出来る。

最後まで一緒に戦える整体師に、私はなりたい。


三宅弘晃


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