美氣流行~びきりゅうこう

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なぜ独立開業しないの?

弟子の二人は時々こう聞かれるらしいです。「先生は独立開業しないのですか?」と。それぞれ丸15年と10年も修行も続けていれば、「いつまで修行するの?」という疑問もわいてくるのでしょう。少なくとも世間一般の感覚ではそうだと思います。
実は当事者である我々は、その辺を明確に決めているわけではありません。ただわごいちを一緒になって一生懸命に作ってきたら、それだけの年月が経っていたということです。逆に言えば「いつ独立しても、いつ辞めてもいい」という前提でずっと師弟としてやってきて、気が付けば年月が経っていたという感じです。

昨日、3人で仕事上がりにささやかなお茶会(たまに縁側の赤畳でお抹茶をいただきます)をした時に、15年一緒にやってきた参尽に私はこう聞きました。「これまでここでやってきてよかったと思うか」と。参尽はこう答えました。「ここに来なかったら、私は昔と変わらず、社会に対して文句を言いながら特に何もせず過ごしていたと思います」と。

職人にとって、確かな技術をもって独立開業するのは、ひとつの夢だと思います。気難しい上司のご機嫌に振り回されることもなく、自分が良いと思うことを自由に行える経営者に惹かれるものでしょう。なにより独立開業、起業、という言葉には夢を感じます。
もちろん中には、起業など自分にはとんでもない。経営なんて重荷を背負うよりは、誰かの下で気楽にやっていきたいという人も少なくはないでしょう。整体師にもそういう人はいます。ただ、そういう人の多くは会社員などの方を選ぶ傾向が強く、整体という個人仕事の世界に入ってくる人は、比較的独立志向が強いと思います。
だからなおさら10年以上修行しつづけている、しかも堅苦しそうな徒弟制度で修行し続けているわごいちの二人に対して、不思議に思う人も居るのです。

二人が私のもとで長らく弟子を続けている理由、それは自分一人でやるよりも、あるいは自分が人を雇って経営するよりも「わごいちの一員として働く方が魅力的だ」と考えているのではないでしょうか。
より強く魅力を感じる他の整体院があればそちらに移ることも考えるでしょうし、自分で経営する方がより魅力的だと思えば独立開業することでしょう。
実は私自身も、当初は整体を習った櫻井寛先生の元で一生働きたいと思っていました。櫻井先生が行っていた「丹力」に惚れ、これぞ本物の技術だと思っていたので、櫻井先生についていき丹力を世に広めるために一生尽くしたいと願っていたのです。しかし残念ながら当時の櫻井先生が弟子を迎える状況になく、願い叶わず独立開業するしかなかったのです。

世間一般では独立開業こそが1人前の証のように考える人も少なくありません。もちろん優れた先生の元から多くの門下生が巣立ち、その教えや技術を広めていくことは業界発展のためにとても大事なことです。しかし中には、独立開業しなくても1人前の職人として役割を果たす生き方もあるのです。
古くは徒弟制度、今は学校制度、まだまだ職人の修行のあり方、独立のあり方は変わっていくと思います。その中で大事なことは、師匠は何を目指しているのか、そして弟子は何を目指すのか、それぞれが自分の生き方を常に考え、自分の生き方に責任を持つことです。その上でどうしたいのかを時々でいいので話し合うことです。
独立か雇われか、その形が重要なのではありません。自分の人生をどう生かしていくか。自分をどう高めていくか。どんな役割を果たしていくか。これらについて師弟が共に考え向き合い続けることが徒弟制度の醍醐味なのだろうなと思い始める師匠歴16年目です。

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