日本人の死生観は桜によって育まれるのか。そう考えれば学校や会社勤めの始まりが春なのに妙に納得したりする。
桜花ほど未練なく咲き散る花は多くないだろう。桜花ほどその過程を見せつける花は多くないだろう。その両方を兼ね備えた木花は稀だろう。さらには幻想的な淡い色味。こうしていちいち言葉にする私が馬鹿に思えてくるほどに桜は幻の如く映えている。
子供の頃から馴染んだ桜。歳を重ねるにつれ感じることが深くなる。また今年の桜を見れた喜びと、また一年死に向かって歩みを進めた確認と。
桜は死生を問いかける。毎年毎年問いかけている。ちゃんと生きているかと。